抵当権の抹消登記と相続登記

亡くなった方が、住宅ローンを借りていて、自宅に抵当権の登記がされている場合、多くの場合、金融機関で借り入れにあたって、団体生命保険に加入していると思います。借主が死亡した場合に、住宅ローンの残額を生命保険によって一括返済する仕組みです。
そうすると、借主さんが亡くなって、残された相続人に経済力がなくても、金融機関はローンの返済をしてもらえないということを避けることができます。

借主さんが亡くなったと金融機関に連絡をしてしばらくすると、抵当権抹消登記の書類が送られてきます。
抵当権抹消登記の期限はありませんが、やはりあまりゆっくりしないで登記申請をしたほうがいいです。銀行も最近は合併したりして名前などが変わってしまうこともありますし、委任状に記載してある頭取の変更があると、追加で確認する書類が必要になったりします。

さて、この抹消登記は、所有者が亡くなった人のままでできるのでしょうか?
答えはNoです。
所有者が亡くなった⇒住宅ローンが返済されて、抵当権が消滅した、の順番ですので、まず相続登記をして、所有者を変えなければなりません。
相続登記と抵当権抹消登記は一緒に申請をすることはできますが、とにかく名義人にだれがなるのか、全員で共有にするのか、決めなければいけないのです。

なお、亡くなった方が、生前すでにローンの返済をしていて、抹消登記の書類が金融機関から来ていたにもかかわらず、登記はしていないうちに亡くなった場合は、相続人が、抹消登記をする権利を亡くなった方から承継しているので、相続登記をしないで抹消登記をすることが可能です。
ちなみに相続人が多数いる場合でも、そのうちの一人から抹消登記を申請することが可能です。