相続登記は自分でできる?
「相続登記は、自分でできる?」という質問に対する答えはイエスです。
私は、登記の専門家、司法書士ですので、「いえ、自分で申請することはできなくて、司法書士に依頼しないとできないですよ」と言いたいところですが、本人による登記申請も受け付けられますので、自分でも登記は可能です。
最近は、書籍だけではなく、インターネットで検索すると、必要書類や申請書の書き方を説明しているサイトも見つかります。法務局に相談ブースがあり(事前予約制)、そちらで相談することもできます。
自分で申請すれば、実費である登録免許税と登記事項証明書(登記簿謄本)だけですみ、司法書士報酬が要りません。
では、司法書士に依頼するメリットは、何でしょう?
まず、時間が短縮できます。本屋に行って、本を買い、それを読んで必要書類を揃えて、登記を申請する。本も相当なページがありますので、読むだけでも時間がかかります。
法務局に行くのも、平日しか開いていませんので、仕事を休んで行くことになります。
つぎのメリットとしては、正しく登記ができることです。例えば、私の名前の「高い」という字ですが、一般的に「くちだか」と言われる、学校で習う「高」と、「はしごだか」と言われる「髙」があります。この2つは戸籍上は同じ字と扱われますが、似ているようで、実は違う字というものもあります。
記入したものに間違いがあって、法務局の審査も間違ったまま通ってしまい、間違った登記がされてしまうことがあります。不動産は、ずっと残るものです。特に土地は、建て替えることもありませんので、過去に間違った登記がされ、そのまま次に引き継ぐということは、子供や孫といった次の代に問題が表れてしまうという面倒があります。司法書士に依頼すれば、自分で申請するよりも、ミスはぐっと減らせます。
でも、私が考える最大のメリットは、司法書士が相続人の本人であることや意志を確認して登記をすることです。
司法書士は、相続人全員で合意したという遺産分割協議書を見て、さらに、相続人の方に内容に本心から同意しているのか、そもそも別人ではなく、本人が名前を書いたのか、などを確認することがあります。依頼者にとっては、「すでに決まった内容だし、確認されるのもちょっと面倒」と感じることもあるかもしれません。でも、相続人とは他人の司法書士が確認することで、もし後日相続人の一人から「ほんとうは同意していなかった」とか、相続人の子供が、「お父さんは、勝手に捺印されたと言っていた」と、不満が出ても、司法書士が「いえ、そのときに私が確認して登記をしたんです」と証言することができます。
司法書士は、受託記録を残していますし、もし長期間が経過して、書類を廃棄しても、受託した案件は覚えているものです。
以前、速読の講座の広告で、他士業の方が、その速読の受講者で、「数年前の依頼者を覚えていました」と自慢げに言っていましたが、速読法を習得していない私でも、覚えています。おそらく他の司法書士さんも同じです。
「紛争を後に残さない」これが、司法書士に依頼する最大のメリットではないかと思います。
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