遺言書を見つけたら

最近はいろいろなところで終活セミナーが開催されて、遺言書を作る方も多いと思います。
遺言は5つの種類がありますが、多くは次の2つのいずれかの方法で作成する遺言でしょう。

1.自筆証書遺言
作成者が全文を自書し、押印したものです。法律改正により、財産目録は、パソコンで作成したものでも良くなりました。また、銀行の通帳のコピーや登記簿謄本を利用することも可能です。
2.公正証書遺言
公証人が、作成者本人の意向を聞いて作成するものです。証人2人が必要です。

公正証書は、公証人が作成して、同じものを公証人が保管していますので、他の人が書き換えたりすることができませんが、自筆証書は、自分が作成して保管しておくだけのものなので、作成者が亡くなって、見つけた人が書き換えないとはいいきれません。
そこで、自筆証書遺言は、作成者が亡くなったあとで、遺言が発見されれば、家庭裁判所で、「遺言の検認」という手続きをしなくてはいけません。

申立てができるのは、遺言書を預かっていた人と、遺言を発見した相続人です。
申立てができる家庭裁判所は、亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
基本的な必要書類は、
1.亡くなった人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
2.相続人全員の戸籍謄本
3.亡くなった人のお子さんで死亡している方がいらっしゃる場合は、そのすでに亡くなっているお子さんの出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
です。結局、だれが相続人なのかを確認し、証明するための書類が必要なのです。

家庭裁判所は、相続人全員に「いついつ家庭裁判所に来てください」と通知を出します。相続人は、指定された日に家庭裁判所に行くのですが(都合がつかず欠席することは可能で、全員集まらなくても行われます)、申立人は、遺言書のほかに、お亡くなった人の書いた手紙や日記などを持ってくるように言われます。
家庭裁判所で、裁判官と相続人が遺言の形状や署名などを確認して、遺言書の偽造を防止するための手続きが、「遺言の検認」なのです。
ただし、筆跡鑑定をしたり、その遺言が有効であるかを判断する手続きではありません。

自筆証書遺言は、封印が要件ではありませんが、たいていは封筒に入れて封印をしてあると思います。開封も家庭裁判所で行いますので、遺言書を見つけても勝手に開封をしてはいけません。
この手続きが終わると、家庭裁判所は、遺言書に検認済証明書を付けてくれます。遺言の内容に従って、不動産の名義を変更する場合は、証明書付の遺言でないと使用ができません。

 

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